数年前、私は歯列矯正と全身脱毛という、二つの大きな自己投資をやり遂げた。それは、ただ見た目が変わるだけのことではなかった。私の見る世界、そして世界の私への見方が、根本から変わったような気がしている。以前の私は、ガタガタの歯並びがコンプレックスで、人と話す時は無意識に口元を手で覆っていた。思いっきり笑うことなんて、できなかった。夏場に半袖を着るのも、腕の毛が気になって躊躇していた。そんな小さなコンプレックスの積み重ねが、私の中から自信というものを静かに奪い去っていたのだと思う。矯正装置が外れ、つるつるの肌を手に入れた日、私は新しい自分に生まれ変わった。一番の変化は、笑顔だ。何も気にすることなく、歯を見せて笑える。その単純な行為が、こんなにも幸福なことだとは知らなかった。笑顔が増えると、不思議と周りの反応も変わった。「最近、明るくなったね」「笑顔が素敵だね」。そんな言葉をかけられるたびに、私の心はさらに軽やかになっていった。メイクをするのも楽しくなった。口紅を引けば整った歯並びがそれを引き立ててくれるし、ファンデーションのノリが良い綺麗な肌は、どんな色のアイシャドウも受け入れてくれる。横顔の写真を撮られるのも怖くなくなった。むしろ、自分のEラインを少し自慢に思うくらいだ。しかし、最大の収穫は、外見の変化によって得られた内面的な強さかもしれない。目標を立て、そのために努力し、時間とお金を管理し、痛みに耐えてやり遂げたという経験。そのプロセスが、私に「私だって、やればできるんだ」という揺るぎない自信を与えてくれた。歯並びと肌が綺麗になったことで、私の世界からコンプレックスというフィルターが取り払われた。見える景色は、以前よりもずっと明るく、鮮やかに輝いている。