歯列矯正を始めたばかりの時期や、ワイヤーを調整した直後の数日間は、多くの人が歯の痛みに悩まされます。歯が動くことによる生理的な痛みであり、通常は数日で和らぎますが、その間は食事を摂るのも一苦労です。こんな時に無理して普段通りの食事をしようとすると、痛みを増幅させるだけでなく、矯正装置に負担をかけてしまう可能性もあります。そこで重要になるのが、痛い時期でも食べやすく、かつ栄養もしっかり摂れる食事の選択です。まず基本となるのは、おかゆや雑炊、リゾットといった米を柔らかく煮込んだ料理です。これらはほとんど噛む必要がなく、胃腸にも優しいため、食欲がない時でも比較的スムーズに食べられます。溶き卵を加えたり、細かく刻んだ野菜を一緒に煮込んだりすることで、栄養価を高めることもできます。スープ類も非常に頼りになるメニューです。野菜や鶏肉などをくたくたになるまで煮込んだポタージュやミネストローネは、食材の旨味と栄養が溶け込んでおり、一杯で満足感を得やすいでしょう。豆腐や茶碗蒸し、スクランブルエッグといった卵料理も、柔らかくてタンパク質が豊富なため、矯正中の食事の強い味方です。麺類であれば、硬いパスタよりも、柔らかく煮込んだうどんやそうめんが適しています。具材もネギのような繊維質なものよりは、ひき肉や卵などが食べやすいでしょう。デザートや間食には、ヨーグルトやプリン、ゼリー、ムースなどがおすすめです。これらは口当たりが滑らかで、歯に負担をかけずに楽しむことができます。痛みが強い時期は食事が偏りがちになりますが、こんな時こそ体の回復を助ける栄養が必要です。柔らかさだけを追求するのではなく、タンパク質やビタミン、ミネラルをバランス良く摂ることを意識して、上手に食事を選んでみてください。