大学三年生の春、私は人生を懸けた二大プロジェクトに同時に着手した。長年のコンプレックスだった歯並びを治す「歯列矯正」と、自己処理から解放されるための「全身脱毛」。どちらも高額で、親に頼らず自腹でと決めていたから、私の大学生活はバイトと節約、そして自分磨きの予約で埋め尽くされた。矯正は表側のワイヤー矯正で総額約90万円、脱毛は医療脱毛5回コースで約30万円。合計120万円という途方もない金額を前に、私はまず徹底的な資金計画を立てた。時給の良いカフェバイトに加え、週末はイベント設営の単発バイトを入れ、月々の目標貯金額を必死でクリアしていく。飲み会や旅行の誘いを断るのは辛かったけれど、鏡を見るたびに「この未来のために」と自分を奮い立たせた。大変だったのは、予約の管理だ。矯正の調整日は月に一度。調整後の数日は痛くて食事がままならない。その痛みが落ち着いた頃に、脱毛の予約を入れる。特に顔脱毛の日は緊張した。カウンセリングで矯正中であることを伝えると、看護師さんは「大丈夫ですよ」と優しく微笑んでくれた。施術当日、口周りのレーザー照射の際は、ワイヤー部分にガーゼやテープを貼って丁寧に保護してくれた。それでも、金属の近くにレーザーが当たると、じんわりと熱を感じることがあり、そのたびに少し身構えた。矯正の痛みと脱毛の熱さ、ダブルの刺激に耐える日々。でも、その先には理想の自分が待っている。そう信じて二年が過ぎた頃、ついに矯正装置が外れた。鏡に映ったのは、整った歯並びで微笑む、肌の綺麗な自分。あの時の達成感は、何物にも代えがたいものだった。大変だったけれど、歯列矯正と脱毛を両立させた経験は、私に外見の美しさだけでなく、目標をやり遂げるという大きな自信を与えてくれたのだ。