歯列矯正の長い旅路を終え、ようやく手に入れた美しい歯並び。でも、鏡を見るたびに、なんだか自分の顔じゃないみたいに感じる。特に、唇のあたりが……。以前よりも薄くなった気がするし、鼻の下が間延びして見える。周りからは「綺麗になったね」「すっきりしたね」と言われるけれど、自分の中ではまだ、この新しい口元にしっくりきていない。もしあなたが今、そんな風に感じているなら、それは決して珍しいことではないと伝えたい。何年、何十年と見慣れてきた自分の顔が変わるのだから、戸惑うのは当然のことだ。特に、抜歯を伴う矯正で口元が大きく後退した場合、唇のボリュームが減ったり、人中(鼻の下の溝)が伸びたように感じたりする変化は、多くの人が経験する。大切なのは、この変化をネガティブなものと決めつけないこと。客観的に見れば、それはEラインが整い、洗練された印象になった証拠かもしれない。脳が新しい顔のバランスに追いつくまで、少し時間が必要なだけなのだ。この移行期間を乗り越えるために、いくつか試せることがある。一つは、メイクの力を借りること。唇が薄くなったと感じるなら、リップライナーで少しオーバーに輪郭を描いたり、グロスで立体感を出したりするだけで、印象は大きく変わる。人中が気になるなら、上唇の山にハイライトを入れたり、チークを少し高めの位置に入れたりして、視線を上に集める工夫も有効だ。もう一つは、とにかくたくさん笑うこと。笑顔は最高のアクセサリーだ。新しい口元で思いっきり笑うことで、表情筋が鍛えられ、顔全体が生き生きとしてくる。そして何より、あなた自身の気持ちが前向きになるはずだ。歯列矯正による変化は、あなたの努力の結晶。今はまだ見慣れないかもしれないけれど、それは間違いなく、あなたがより素敵になった証拠。焦らず、ゆっくりと、新しい自分の親友になってあげてほしい。その唇は、これからあなたとたくさんの笑顔を紡いでいくのだから。
矯正後の唇の変化にまだ慣れないあなたへ