「治療期間は、だいたい2年半くらい見ておきましょう」。カウンセリングで先生にそう告げられた時、長い道のりを覚悟しました。私は30代を目前にしての歯列矯正スタート。決して若いとは言えない年齢での挑戦だったので、むしろ「もっと時間がかかるかもしれない」とさえ思っていました。しかし、私の矯正ライフは、予想を裏切るスピードで進んでいきました。初めてワイヤーを装着し、あの独特の痛みに耐えること数日。一ヶ月後の調整日にクリニックへ行くと、先生が私の歯を見るなり「お、もう結構動いてますね。順調です」と少し驚いたように言いました。その言葉は、痛みを乗り越える大きな励みになりました。それからも、調整のたびに「動きが良いですね」「予定より早く進んでいます」という言葉をもらうことが多く、当初2年半と言われていた治療は、最終的に2年を少し切る期間で終えることができたのです。なぜ私の歯は早く動いたのでしょうか。先生は「個人差は大きいですが、代謝が良いのかもしれませんね」と話してくれました。特別なことをしたわけではありませんが、思い返せば、矯正期間中に意識していたことがいくつかあります。まず、栄養バランスの取れた食事です。歯を動かすのは骨の作り変え作業なので、その材料となるタンパク質やカルシウム、ビタミンなどをしっかり摂るように心がけました。痛くて噛めない時期も、プロテインや具沢山のスープなどで栄養補給を欠かしませんでした。次に、十分な睡眠です。体の修復や新陳代謝は、主に睡眠中に行われると聞き、できるだけ質の良い睡眠を確保するように努めました。そして何より、先生の指示は絶対に守る、と心に決めていました。ゴムかけは面倒でも毎日欠かさず、通院も一度もキャンセルしませんでした。これが一番の効果だったのかもしれません。自分の歯が「動きやすいタイプ」だったのかは分かりませんが、治療に真剣に向き合った結果が、期間短縮という最高の形で返ってきたのだと信じています。これから矯正を始める方も、ぜひ自分の体を信じて、治療に前向きに取り組んでみてください。
私の歯はなぜか早く動いた!矯正体験記