歯列矯正でリンガルアーチを装着することになったら、まず気になるのが毎日の食事ではないでしょうか。歯の裏側にワイヤーがある生活は、慣れるまで少し工夫が必要です。しかし、いくつかのポイントを押さえることで、食事のストレスを大幅に減らすことができます。最も注意したいのは、粘着性の高い食べ物です。お餅やキャラメル、ガム、ソフトキャンディなどは、ワイヤーに強力に付着し、取り除くのが非常に困難です。無理に取ろうとすると装置が変形したり、外れたりする原因にもなるため、治療期間中はなるべく避けるのが賢明です。次に気をつけたいのが、繊維質の多い野菜です。ほうれん草やえのき、ニラなどは、細い繊維がワイヤーに絡みつきやすく、食後の歯磨きで苦労することがあります。食べる際は、あらかじめ細かく刻んでおくことで、絡みつきを最小限に抑えることができます。また、リンゴや硬いおせんべいのように、前歯でかじりつく必要がある食べ物も注意が必要です。特に装置をつけたばかりの頃や、調整後の歯が動いて敏感になっている時期は、痛みを感じやすいだけでなく、装置に過度な力がかかってしまう可能性があります。これらは一口サイズにカットしてから、奥歯でゆっくりと噛むようにしましょう。食事の際は、焦らずゆっくりと食べることを心がけ、食後はできるだけ早く歯磨きをするのが理想です。鏡を見ながら、ワイヤーと歯の間に食べ物が残っていないかを確認する習慣をつけましょう。最初は戸惑うかもしれませんが、次第に「この食べ物はこうやって食べれば大丈夫」という自分なりのコツが掴めてきます。少しの工夫で、矯正中でも食事を楽しみ続けることは十分に可能なのです。