念願の歯列矯正を開始して数ヶ月。毎日鏡を見ては、歯が少しずつ動いていることに喜びを感じていました。しかし、ある日ふと気づいてしまったのです。「あれ、なんだか前よりエラが張ってない?」。楽しみにしていたはずの矯正治療で、まさかコンプレックスが増えるなんて。その日から、私の心は不安でいっぱいになりました。笑った時の横顔が、以前よりも四角く見える気がして、写真を撮るのも憂鬱になりました。インターネットで検索すると、「矯正中にエラが張った」という同じような悩みを持つ人の書き込みがちらほら。原因は、歯を動かしている過程で噛み合わせが一時的に不安定になり、食べ物を噛む時に無意識に変な力が入ってしまうことや、痛みから特定の筋肉ばかりを使ってしまうことにあるようでした。不安でいてもたってもいられず、私は次の調整日に担当の先生に正直に打ち明けました。「最近、エラが張ってきた気がして、すごく不安です」と。すると先生は、私の話を真剣に聞いた後、「それは治療過程で時々起こることですよ。噛み合わせが安定してくれば、落ち着いてくることがほとんどなので、あまり心配しすぎないでくださいね」と優しく言ってくれました。そして、咬筋の緊張を和らげるための簡単なマッサージの方法も教えてくれました。先生のその言葉と具体的なアドバイスに、私の不安は大きく和らぎました。それからは、教えてもらったマッサージを毎日続け、できるだけ左右均等に噛むことを意識しました。すると、さらに数ヶ月が経過した頃には、気になっていたエラの張りはすっかり落ち着き、むしろ治療開始前よりもスッキリとした印象になっていたのです。今思えば、あの時一人で抱え込まず、すぐに先生に相談して本当に良かったと思います。歯列矯正は、時に予期せぬ変化や不安が伴う長い旅です。もし治療中に何か異変を感じたら、それは自分だけで判断せず、専門家である先生に伝えることが、安心してゴールにたどり着くための最も確実な方法なのだと、身をもって学びました。
歯列矯正中にエラが目立った時の乗り越え方