歯列矯正に伴う様々な「辛さ」は、工夫次第で軽減することが可能です。ただ耐えるのではなく、積極的に対処法を実践することで、治療期間のQOL(生活の質)は大きく向上します。まず、多くの人が悩まされる「痛み」への対策です。調整後の痛みがピークに達する前に、歯科医師に指示された痛み止めを服用するのが最も効果的です。また、痛む部分を間接的に冷やしたり、冷たい飲み物を口に含んだりするのも痛覚を鈍らせるのに役立ちます。食事は、おかゆやスープ、ヨーグルト、豆腐、茶碗蒸しなど、噛む必要のない柔らかいものを事前に準備しておくと安心です。次に、厄介な「口内炎」の対策です。装置が粘膜に当たって痛いと感じたら、我慢せずに矯正用ワックスを使いましょう。米粒大にちぎって丸め、ブラケットの上に貼り付けるだけで、粘膜への刺激を劇的に和らげることができます。できてしまった口内炎には、市販の塗り薬や貼り薬を早めに使用するのが悪化させないコツです。また、ビタミンB群の摂取は口内炎の予防・改善に繋がると言われています。そして、「食事の不便さ」を乗り切るためには、調理器具の活用がおすすめです。ミキサーやブレンダーがあれば栄養満点のスムージーが作れますし、圧力鍋を使えば硬い肉や野菜も驚くほど柔らかく調理できます。最後に、忘れてはならないのが「精神的な辛さ」への対処です。治療前の自分の歯の写真と現在の歯並びを比較し、変化を実感することは大きなモチベーションになります。SNSなどで同じように矯正を頑張っている仲間を見つけ、励まし合うのも良いでしょう。辛いのはあなた一人ではありません。様々な知恵と工夫を武器に、長い矯正期間を賢く乗り越えていきましょう。