ワイヤー矯正の痛みは、治療期間中ずっと同じように続くわけではありません。痛みが強くなる特定の「ピーク」が存在し、それを事前に知っておくだけで、精神的な負担は大きく変わります。ここでは、ワイヤー矯正における痛みの主なピークと、その時期ごとの特徴を解説します。矯正治療における最初の、そして最大の痛みのピークは、「初めて装置を装着した直後」です。今まで何もなかった歯にブラケットとワイヤーが取り付けられ、持続的な力がかかり始めるため、体も心もその刺激に慣れていません。装着後数時間から痛み始め、翌日から3日後あたりがピークとなることが多く、その後1週間ほどかけて徐々に和らいでいきます。歯全体が浮くような、噛むと響くような鈍痛が特徴で、食事に最も苦労する時期と言えるでしょう。この最初の山を乗り越えると、体は矯正の刺激に少しずつ慣れていきます。次に定期的に訪れる痛みのピークが、「月一回の調整日(ワイヤー交換)の後」です。歯の動きに合わせてワイヤーを交換したり、締め直したりすることで、再び歯に新たな力がかかります。痛みの種類は初回と似ていますが、多くの場合は初回の時ほどの激しい痛みではなく、ピークも2日から3日程度で治まることがほとんどです。しかし、歯の移動段階によっては、太いワイヤーに変わったり、新たな装置が追加されたりすることで、初回に近い痛みを感じることもあります。この定期的な痛みの波を乗り越えることが、矯正生活の中心となります。その他にも、局所的な痛みのピークが訪れることがあります。例えば、歯を大きく動かすために使用する「顎間ゴム」をかけ始めた時、特定の歯に強い痛みを感じることがあります。また、歯が動いてきたことで、奥歯のワイヤーが伸びて余り、頬の粘膜を突き刺すような鋭い痛みが生じることもあります。これは我慢せず、速やかにクリニックでカットしてもらう必要があります。このように、痛みのピークは治療のステージによって様々です。しかし、どの痛みも永遠に続くものではありません。必ず終わりが来ることを知り、心の準備をしておくことが大切です。
ワイヤー矯正の痛みのピークはいつ?時期別解説