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歯科医師が警鐘!「放置」がもたらすお口の崩壊
私たちのクリニックには、日々、様々な歯並びの悩みを抱えた患者様が訪れます。しかし、その中でも特に、私たちが心を痛め、強い危機感を抱くのが、「放置」によって引き起こされた、深刻なケースです。この「放置」には、大きく分けて3つの種類があります。そして、そのどれもが、お口の健康を静かに、しかし確実に崩壊へと導いていきます。第一の放置は、「不正咬合そのものの放置」です。若い頃から歯並びが悪いことを自覚していながら、「まだ大丈夫」と問題を先送りにしてきた結果、40代、50代になって、深刻な歯周病や、多数の虫歯、顎関節症といった形で、そのツケを払わされることになる方々です。歯並びの悪さは、単なる見た目の問題ではなく、清掃性を著しく低下させ、病気のリスクを高める時限爆弾のようなものです。放置された期間が長ければ長いほど、治療は複雑化し、最終的に歯を失う確率も高まります。第二の放置は、「矯正治療の中断」です。様々な事情で治療の途中で通院をやめ、装置がついたまま何年も過ごしてしまう。これは、私たち歯科医師から見て、最も危険な状態です。口の中は、清掃不能なプラークの温床となり、装置の周りは見るも無残な虫歯だらけ。歯並びは治療前より悪化し、噛み合わせは崩壊。再治療をしようにも、まずはその虫歯や歯周病の治療から始めなければならず、患者様の心身、そして経済的な負担は計り知れません。そして第三の放置が、「リテーナーの不使用」です。これは、いわば、ゴールの目前での棄権です。長い時間と高額な費用をかけて、ようやく手に入れた美しい歯並び。それを維持するための、最後の、そして最も重要なステップが保定期間です。この期間にリテーナーの装着を怠れば、歯は必ず後戻りを始めます。数年後、後悔して来院された時には、もはや手遅れ。再治療という、最も悲しい選択をせざるを得なくなります。これらの「放置」に共通しているのは、最初は小さな問題意識の欠如から始まるということです。しかし、その小さな油断が、数年後には取り返しのつかない大きな問題へと発展する。それが、お口の世界の厳然たる事実なのです。どうか、問題を先延ばしにしないでください。あなたの歯の未来は、今のあなたの決断にかかっています。