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その顎のシワ、オトガイ筋の緊張かも?矯正とボトックスという選択肢
口を閉じようとすると、顎の先にできる「梅干しジワ」。この不格好なシワの正体は、オトガイ部にある「オトガイ筋」という筋肉の過剰な緊張です。この問題は、歯列矯正で出っ歯などの原因を治すことで、劇的に改善されることが多くあります。しかし、中には、矯正治療を終えて歯並びが整い、楽に口が閉じられるようになったはずなのに、長年の癖が抜けきらず、無意識にオトガイ筋に力を入れてしまう、という方もいらっしゃいます。そんな時に、有効な選択肢となるのが「ボトックス注射」です。ボトックス注射と聞くと、シワ取りなどの美容医療をイメージする方が多いと思いますが、その本質は「筋肉の働きを一時的に弱める」ことにあります。ボトックスの主成分であるボツリヌス・トキシンが、神経から筋肉への命令伝達をブロックすることで、過剰に緊張した筋肉をリラックスさせるのです。この作用を利用し、梅干しジワの原因となっているオトガイ筋に、ごく少量のボトックスを注射することで、筋肉の無駄な緊張を和らげ、顎の表面を滑らかにすることができます。歯列矯正とボトックス治療の併用は、非常に合理的なアプローチと言えます。まず、歯列矯正によって、口が閉じにくいという「根本的な原因(ハード面)」を解決します。そして、それでも残ってしまった筋肉の「癖(ソフト面)」に対して、ボトックス注射でアプローチするのです。これにより、より完成度の高い、理想的な口元を目指すことが可能になります。もちろん、ボトックスの効果は永続的ではなく、通常は3ヶ月から半年ほどで薄れていきます。しかし、効果が持続している間に、正しい筋肉の使い方を脳と体が覚え、徐々に悪い癖が改善されていくことも期待できます。もし、矯正治療後も顎の梅干しジワが気になる場合は、このような美容医療との連携も一つの有効な手段として存在することを、知っておくと良いでしょう。まずは、信頼できる歯科医師や美容皮膚科医に相談してみることをお勧めします。